『おおかみこどもの雨と雪』
2012年 08月 30日たしかにおもしろかった。みていてぜんぜん飽きませんでした。
それにしても、一橋大学の女子は強い!!!!
噂どおりだ。
見た目はあんなに可憐で、かわいいのに。
最初の舞台はどうやら国立の一橋大学みたいです。
中にでてくる教室や講堂は、たしかに一橋大学にそっくり。
校舎の外、大学の構内に近所の人や、子連れのお母さんがベビーカーで散歩にきていたり、子供を遊ばせていたりするところも。
一橋大学の女子大生が、狼男の子供を産んで育てるお話。
設定自体はとても奇抜なのに、物語の展開はすこぶる自然で、リアリティがあって、おかしなところ、変なところがなくて、説得力バリバリ。
狼子供は、人間じゃないから、家の中であばれたり、家の中のものをこわしまくったり、夜中にないたり。
でも、人間の子供も、小さいうちは、野獣とかわらないので、狼じゃなくても、小さい子供の子育てはこんなものです。
でも、このヒロインえらいわぁ。
作中ずっと、子供たちをしかったり、おこったり、どなったりするシーンがぜんぜんなかった。
ただ、子育てっていうのは、普通の人間の子供でも、しんどいんだから、一回くらいは、もっとおちこんだり、くじけたり、なきわめいたりする場面があっても、よかったはずではとは、思いましたけど。
でも、先日観た、「メリダとおそろしの森」のお母さんとは、正反対。
そして、やがてこどもたちは、11,12歳くらいになる。
子供だった、動物だった子供たちは、だいたいこの年で大人になり始める。
人間でも、この年齢になると、人らしい感覚が身についてくる。
恥ずかしいということをおぼえはじめたりする。
物語の中の狼子供たちも、大人になり始める。
姉も弟も、それぞれの人生のキーマンをみつけ、自分の人生を選び出す。
姉の雪は、人間のとしての人生を、弟の雨は、狼としての生き方を。
でも、人間でも、男の子は、この年齢中学生くらいって、もっとも荒々しい時期で、そしてもう、母親だけでは、育てきれなくなってくる。
だから、物語の雨が狼になったのも不思議ではない。
男の子の12歳から15歳くらいは、とても荒々しくて、野生の獣とかわらないような部分を一番現わし始める時期だもの。
父親のいない雨にとって必要だったのは、人間の師よりも、野生の世界の師匠だったのは、当然のことかもしれない。
けれど、やがてもう少し年をとって、さらに雨が大人になった時、やっぱり人間になりたくなって、人の世界で自分以外の人間にであって、関わりたい、学びたいと、思う時が来るはず。
彼の父親がやはり人間の世界で、彼の母と出会ったように。
雨がいつか人の世界にもどってくるはずだと、母は思っているから、あのままあの山の家に暮らしているんだろうと、思う。
そして、女の子は男の子より大人になるのがずっと早い。雪はもう11歳で生涯の相手に出会ってしまって、ヒトの世界で生きる覚悟をしてしまった。
それにしても、山の中のボロボロの家。
子供たちと、三人だけの暮らし。
家賃はタダ同然だし、よけいなものもいらないし。
こんなシンプルな生活は羨ましい。私も。やりたい。
でも、物語の中で里の人たちが言っていたように、やっぱり都会生まれの人間には無理かなぁ。
一生懸命そだてても、いつか子供はそれぞれの人生をみつけて、旅立ってしまう。
寂しいけれど、仕方ない。
それは、おおかみも人間もやっぱり同じ。
・おおかみこどもの雨と雪@ぴあ映画生活