『朱蒙-チュモン-』ドラマ
2012年 04月 14日放映当時すごい高視聴率だったらしいし、日本でも、かなり人気があったらしいです。
しかも、高句麗の建国の前にも古朝鮮という古代国家が存在していたとのこと。朝鮮という国が、これほど古い歴史をもった国だったんだと、今回初めて知って驚きました。
いままで、日本では、朝鮮という国をどこかで低く見ていました。でも、これほどの歴史のある国が、なぜ?と、不思議に思いました。
これほど古い歴史のある国なら、もっと世界的評価も高く、国力も技術力もありそうなもの。にもかかわらず、日本の方が技術的にも、経済的にもすすんでいるのは、なぜなのか。
というわけで、いろいろみてみると、周りには、中国、蒙古、日本、ロシア、など、多くの国があり、常にそれらの国から責められたり、支配されたり、のっとられたりと、いろいろな干渉をうけているのですね。位置的にも、割と寒く、あまり農作物も豊かでなさそう。物語の中でも、塩の入手に苦労していたり、日照りが続いて食料に苦労していたりなど、結構厳しい国のようです。
こんな風だと、常に経済的にも苦しく、文化や技術力を育てる余裕はないかも。でも、チャングムをみていると、宮廷料理や、薬草、針治療など、結構いろいろと文化があるんですよねぇ。うーん。もっとも、近代でも日本に支配されたり、朝鮮戦争がおきたりしてるしね。
本当に厳しい国なのかな。
先日ユーチューブでみた、大学教授の韓流ドラマの解説をみていても、布を染める染料もなく、ほとんどの人たちは白い服をきていたようでした。
ドラマの中の色とりどりの美しい衣装はあくまで、ドラマという娯楽ゆえのもの。時代考証はしていても、ドラマの娯楽性ゆえの華やかさは必要ですし。
でもやっぱり、韓国の時代劇のストーリーテリングの見事さには、恐れ入っちゃう。本当によくできているし、朱蒙も、81話いう長さにもかかわらず、ほとんど視聴者をあきさせないどころか、ぐいぐいひきこんでいくみごとさ。現在の日本のドラマは、ほとんどがワンクール、12話か13話くらいの短さ。NHKの時代大河ドラマですら、50話がせいぜい。最近はさらに短くなってるし。長いからこそいろいろとエピソードをいれられるし、じっくり煮込めるというもの。説得力も深みも増していきますよね。
それにしても、朱蒙は、三国史記と百済本紀の分注の別伝に残されたわずかな記述をもとに、その部分をつじつまのあうように、つくられているのですよね。
ヒロインのソソノも記述にしっかり残っている人物らしく、これだけの本に名前がしるされて残されるなんて、よっぽと素晴らしい女性だったのでしょうねぇ。ドラマの中でも、その美人ぶりだけでなく、頭はいいし、商才も、度胸もあるし、剣術も行動力も、あきれるほどのスーパーウーマンぶり。チュモンもすごい人物だけど、その相手役のヒロインもすごい。
歴史書に名前が残るくらいの人物なんだから、本物もすごかったにちがいない。
今の日本の政界に連れてきたいくらい。
ほれあったソソノとは結ばれず、そのあとであったイエソヤと、結婚、子供もできて、でも結局わずかの新婚生活を送っただけで、えんえんと、別居の夫婦関係。そのあげく、イエソヤは、行方不明で死んだと思われて、そのあげく、やっとソソノと結婚したと思えば、イエソヤとユリの出現で、王子たちの王位争いを避けるためと百済建国のためにソソノは高句麗をでてしまって。
本音でいちばん好きなのは、ソソノなのにと、見送るチュモン。
なんて見事なメロドラマぶり。
これが史実どおりっていうんだからすごい。
ちなみに序盤のストーリーは、まるで、旧約聖書の物語にそっくり。
古朝鮮の流民は、まるでユダヤ人みたいだし、王子さまとして育てられた挙句、流民をつれてぷよ国をでるチュモンは、まさにモーゼと出エジプトのエピソードにそっくり。
そもそも、漢は、ローマ帝国みたいだし、漢にさからって捕まってはりつけにされるヘモスは、イエス・キリストみたいだし。
シナリオの段階で、わざと聖書の話に似せたのか、たまたまなのか。はて。
でも、王子たちを育てる王妃さまと、ユファ夫人という二人の母の子育てぶりが、ちょうど青年期の男の子をそだててる自分と重なって、いろいろと考えさせられました。
子供の行動にあれこれ指図したあげく、人殺しまでやらせる王妃様の鬼人ぶりもすごいし、母親の指図にきっちり従って王様の前で泣きだす、テソ王子にも、どこまでマザコンなのーっと思ったけど。
あまりのアマちゃんブリに耐えかねてチュモンを宮殿からだしたのに、死んだかもと聞いてチュモンに会いに行ったりするユファ夫人の母心とか。
やっぱり、母親もある程度大きくなった男の子は少し、外にだして、修行させた方がいいのかも。母親からはなれると途端に男の子ってしっかりするけど、チュモンも、ヨンポも。でも、これってやっぱり、ドラマだから?
それにしても、ソソノ役のハン・ヘジンの美貌の完璧さといったらすごい。あの長いチュモンを最後までみられちゃうのは、ストーリーの面白さだけでなく、彼女の美貌もありかも。
ただ、やっと結婚できたチュモンとソソノなのに、結婚式くらいしか、二人のラブシーンがないのがつまらない。せっかく結婚できた主人公とヒロインなんだし、もう少し、しっとりとしたラブシーンがほしかった。
それにしても、高句麗の立地は、まさに今の北朝鮮。チュモンの末裔は、こんなことになってて、あいかわらず、中国やロシアにしいたげられてるの?
そしてあいかわらず、流民と同じような生活ぶり。土地柄なんでしょうか。
ドラマをみていても、低木の雑木林が多いし、畑とかほとんどでてこないし。最終回では、広いリャオトン半島の平原がでてくるけど、あれだけの平地がまったく開発されずにいまだに残ってるってどんだけ貧しいのか、寒いのか、土地が余ってるのか。日本だったらあれだけの平地があったら、絶対全部田んぼと畑になってるはず。
ドラマの面白さだけでなく、古代から現代までの朝鮮の状況とか事情とか、教えられるし、考えさせられました。
現在高句麗に関しては、朝鮮か場所的に中国の一部なんじゃないかと、韓国と中国でもめてるらしいですし。そういう政争が、ドラマの裏にあるんですよねぇ。
さてつぎは、イサンと、ソンドク女王だ。