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by civaka

『宮廷女官 キム尚宮』

あの『チャングムの誓い』のイ・ヨンエ主演。

イ・ヨンエが、韓国史上でも有名な悪女といわれるキム尚宮を演じています。

一応歴史的には、王様たちを手玉にとって、宮中を自分のいいように好き勝手にやりたい方だいした悪女、妖婦と、言われているらしいです。

でも、この作品のシナリオとしては、かならずしも、そういう描き方はしてないかも。

原題は、『西宮』。
これは、当時の大妃、インモク・テビが、先王亡き後、それまでいた王宮からの遷都についていかずに残ったたことと、その場所をキムサングンが策略によって、出入り禁止にしてしまい、その結果インモクが幽閉される状態となったためであります。

つまり、話のセンターは、このインモク・テビなんだけど、日本のタイトルは『キム尚宮』。イ・ヨンエの人気を重視して、キム尚宮の話として、売ってるわけですね。

で、シナリオとしては、キム尚宮(幼少名ケトン)の子供時代から始まっていて、貧乏でボロ同然の粗末な服を着ていて、食事もままならない、そして毎日きつい労働ばかりの生活。そんな時に、運命の相手キム尚宮と、未来のインモクテビが出会う。

まったく同じ日同じ時間に生まれた運命の二人。
生まれがほとんどおなじなのに、なぜこんなに二人の人生はちがうのか?

リャンバン(貴族みたいなもの?)であるインモクは、きれいないい服を着ていて、両親に大切にされ、ケトンに対して、自分はリャンバンなんだから、敬語を使えという。それにムッとしたケトンは、インモクを川に突き落とします。すでに二人の対立はここから始まっているわけです。

そののち、宮中で再会した二人。

そして、夫である王がなくなり、わが子を殺されたインモクは、義理の息子であり、当時の王であるクァンヘ君の度重なる頼みにもかかわらず、我をはって、遷都になっても一緒にいかずに、行宮のちの西宮に残る。ここら辺が話のタイトルであり、話の中心なわけです。

で、みていると、このインモク・テビ。結構やなやつだなぁと、私なんか思う。わけで。
勉強していて、頭もいいけど、プライドが高く、すごく説教臭くて、うざい。

のちに、臣下から廃母論が出たのも、幽閉されたのも、たぶん、そういう部分を臣下たちがみんな嫌っていて、実際この人をしたっていた臣下は、ほとんどいなかったのでは。実際のところ結構嫌われていたのでは。だから、あんなに廃母論が出たのでは。もっと人徳のある大妃であれば、先王がいなくなっても、大切にされたり、慕われたりしたと思えるのですよねぇ。

幽閉中のインモクの様子は、白い粗末な服、少ない食料。服にも困る女官たち。
でもこの人、この状況なのに、なんにもしないで、あいかわらずえらそーに座ってるだけ。

他にもででくる歴史上有名な臣下の人たちは、自分で畑を作って、自分で働いたり動いたりしています。自分を犠牲にしてでも、王に意見を言ったりしている。

なのに、インモクは座っているだけで、何にもしてないですね。

この粗末で貧乏な生活ぶりがかつてのケトンそっくり。
まさにかつての二人の生活ぶり状況はそれぞれの人物の能力によって、見事に対照的に入れ替わっているわけです。そして、その時のキム尚宮は、ただの女官のはずなのに、とてもきれいな服を着て、自分の才覚でしっかり資産形成していて、そして、宮中でのポジションも確保しています。

側室への誘いも断っています。
側室は、当時としては、王の寵愛をえることは当時の女性としはて、最高の出世のはずですが、キム尚宮は、側室になっても、王が死ねば宮中を出されるし、何にもできない不便なポジションだと、当時としてはめずらしく、そう見切っているのですね。

生まれつきの地位や身分で、時分ではなにもしないのにいばっているインモク、リャンバン達。

この物語では、社会の最下層の下働きの人間からはじまって、リャンバンの庶子、それだけでなく、リャンバンや、王や王妃、側室など、ほとんどすべての人が実は、社会の身分構造のために苦しんでいます。

王自身が自分が側室の子供つまり、庶子であるために、王でありながら、どこかしらで、臣下に軽んじられていると思っているし、だから、側室の子である皇太子クァンヘ君にたいしても、冷たい態度をとります。そのあげく、どうしても、正室の子供を後継ぎにしたくて、高齢にもかかわらず。新しい若い王妃を妻に迎えて、王子を産ませるのですね。
クアンヘ君も、側室の子であるために、父王に冷たくされ続けます。
また、キムサングンの両親もまた、下働きのために、雇い主に殺されたり、情夫扱いされたりしています。

側室であるインビンもまた、側室であるために、新しい王妃に使えなくてはならず、王の死とともに、王宮を出なければなりませんでした。

そして、多くの庶子たちが、政党に扱われず、出世もできない世の中に不満をもって、謀反を起こし、とらえられ、殺されてしまいます。
物語ほぼすべての人が、庶子差別、身分差別に、自分の生まれによってえた地位にとても苦しんでいるのです。

そんな中で唯一、キム尚宮だけは、生まれや、地位ではなく、自分自身の力や才覚で、お金や地位や幸せを勝ち取っていく、そういう姿が描かれているのですね。そして、自分の地位だけで、威張っている人たちにたいして、「ふんっいまにみていろよっ」という態度をも見せてくれます。自分の力で生きていくことの大切さをキム尚宮を通して、描いている。そういうお話なんじゃないかと、思います。

史実では、悪女だけど、イ・ヨンエ演じるキム尚宮は、美人でチャーミングで、才能のある頑張り屋さんで、素敵です。
主演でもあるし、見ていて、味方してしまいます。

生まれや地位でなく、自分の力で手に入れるべき。

のちに、クァンヘ君を廃位して次の王になった、ヌンヤン君が、インモクを助けだそうした時も、インモク・テビは理屈ばかり並べて、すごーくえらそうで、ヌンヤン君とその臣下達は、とっても、困っている様子。

母を幽閉する不道徳者の王を排除し、インモク・テビを助け出す。
それが、クーデターのお題目でしたが、実際に会ってみると、やっぱりインモク・テビは、威ばりん棒で理屈屋のいやーなおばさんでした。自分では何にもしてないのにね。
なんだこいつ。うーん。クァンヘ君がこのおばさんを幽閉したのはだからなのかーと、その時になってヌンヤン君たちはつくづく思ったのでは。

というわけで、自分の力で栄華を極めたキム尚宮と、身分差別はマチガッチョル、人はその本来の能力で評価されるべき、そして、自分の力で人生は獲得すべきと言うお話だったと思います。

でも、ラストわずか10年の栄華ののち、ちゃらっとキム尚宮は、死んじゃいますが。


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by civaka | 2012-09-26 10:37 | ドラマ(dvd) | Comments(0)